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たまにゃ箱

たまちゃんが帰って来ました。小さな箱に入って。遺灰の入ったその箱に、そぉっと頬擦りしました。覚悟はしていたけど、薄らいで来た悲しさが込み上げて、夫と二人でまた泣きました。私達の家には、日当りの良い裏庭がありますが、まだ開発途中でぐちゃぐちゃなので(おまけに数日前の嵐で塀が壊れた)、暫くは埋葬せず、家の中でたまちゃんの箱と一緒に暮らします。庭が片付いたら、この季節に綺麗な花の咲く木の根元にでも埋めたいと思います。
たまにゃ箱_f0141785_8111571.jpg
たまちゃんのいない生活には…、まだ慣れません。朝と夜の10時になると、つい「癲癇の薬あげなくっちゃ」とあせったり、キッチンで料理をしていると、いつの間にかたまちゃんが鈴の音も鳴らさずやって来て、足元にまとわり着いて食べ物をねだるんじゃないかと思ってしまいます。実際最期の夜でさえ、そうしていました。あの時本当に、何か彼女の好物を上げていれば良かったと思うと、今でも胸が締め付けられます。勿論それが最期の夜とは、全く知らなかったのですが…。たまちゃんがいなくなってからは、時間の経つのが異様に長く感じられ、家は本当に静かになりました。たまちゃんは非常に大人しい猫だったけど、「今日はお日様ニッコリしているねえ、たまにゃ」「お庭に鳥ちゃん来たねえ、たまにゃ」とか、頭のおかしい人のように、私は何でも話し掛けていたもので。こんな行為は、キリスト教文化の国では(たとえ信心の薄いイギリスでも)、特に奇妙に写るそうです。一方たまちゃんはバイリンガルで、日本語でも英語でも、私の言うことを大抵理解(?)しました。こうしてたまちゃんについて書いていると、色々鮮明に想い出されて辛くもありますが、自分の気持ちの整理にもなるし、彼女の記録にもなって嬉しいのです。完全室内飼いで、他の猫との交流も全くなかったし、会った人間も数えるほどしかなく、まして何人の人が、こんな病弱で年老いたちっぽけな猫を、いつまでも憶えていてくれるでしょう。
たまにゃ箱_f0141785_163358.jpg
たまちゃんに、ナショナルキャットセンターで初めて会った時、「この猫にしよう」と飼うことに熱心だったのは、夫のほうで、実は私は「年はかなりとっているから、すぐに死んじゃったら辛くてヤだなあ…」と全く乗り気じゃありませんでした。しかし薄情なことに、たまちゃんは救世主の夫ではなく、私にべったりでした。結局私が危惧した通り、短い間しか一緒に暮らせなかったけど、後悔は全くしていません。本当にたまちゃんを選んで良かったと思います。やはり私達が引き取らなかったら、その後誰もが見向きもしなかったでしょうし、仔猫のようにあどけなく純粋で(単純とも言える)こんなにいじらしいにゃんこには、二度と出会えないと思うからです。今でも彼女は私の宝物です。そして近い将来、また保護団体施設から、身寄りのない猫を養子に迎えることでしょう。たまちゃんは単独で飼うことが条件の猫でしたが、今なら喜んでくれると信じています。動物の死が余りにも辛いので、飼うのを諦める人もいますが、どんなに辛いと分かっていても、家族や家を失った不幸な猫がいる限り、例えそのほんの一部でも、救うのが私達の使命だと考えています。彼らはまた、測り知れない幸せを、私達に与えてくれるのですから…。
by derliebling | 2008-03-14 17:10 | 動物


こんにちは!「ぴよよん」です。当ブログに御訪問頂き有り難うございます♪ 英国に住んでいますが中欧好きです。蚤の市等で出会った、または手作りなどの可愛い雑貨たちを紹介していきたいと思います。


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