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ウィーン製ミュージカル「エリザベート」とシシィ伝説

ウィーン製ミュージカル「エリザベート」とシシィ伝説_f0141785_8355925.jpg単にウィーンが好きで2、3ヶ月滞在していた時、ちょうどミュージカル「エリザベート」の初年で、かなり盛り上っていました。そのポスターのグラフィックは、オーストリア皇后エリザベート、すなわちシシィが、年老いた顔を隠す為に愛用した”扇だけ”という地味さで(左のCDジャケットと同じ)、最初は余り興味も湧かなかったのですが、オーストリア国営放送で舞台が紹介されいるのを見て、俄然見たくなり、早速チケットを取って出掛けました。ドイツ語のミュージカルなんて「会議は踊る」以外想像できませんでしたが、出演者の熱演、歯切れの良い展開、印象的で耳馴染みの良いメロディラインがすっかり気に入りました。ストーリーは、自由奔放な父に似て、公爵令嬢らしい教育もロクに受けず野生児として育ったシシィが、皇帝フランツ・ヨーゼフと劇的に恋に落ちるエピソードから始まり、当時の社会背景を織り交ぜながら、姑との確執、宮廷生活に馴染めず旅に明け暮れる日々、皇太子である息子の自殺、そして自ら暴漢に暗殺されるまでを描きます。暗殺者のルイジ・ルキーニがストーリー・テラーであり、彼女の人生に常にイケメン死神(トート)が付き捲ったというのも、斬新で面白い脚色でした。余りに気に入って、その後すぐCDも買い、何度も聞きました。とても少女漫画っぽい内容なので(実際その後森川久美が漫画化しています)日本でやるなら絶対宝塚に合うよな~と思っていたら、数年後本当に宝塚で上演されました。今では帝国劇場でもロングヒットとなっていますが、チケットを取るのが難し過ぎて、結局日本で見る機会はありませんでした。
何を隠そう、私は相当「シシィおたく」です。皇后エリザベートに関する本は、目にする限り読み漁りました。ウィーンに滞在中は、田舎の城館で開催されていたシシィ展を、駅から10km以上、マルヒフェルトと呼ばれる平原を延々と歩いて見に行きました。しかし、決して彼女の劇的な生き方や美貌に憧れるとか、不幸な境遇に同情するというのではありません。何故興味があるかと言えば、「すんごい変人だったから」と言う、もしも彼女が生きていたら、多分一番嫌がったであろう好奇心を向けています(笑)。
ウィーン製ミュージカル「エリザベート」とシシィ伝説_f0141785_8362140.jpgシシィは今だ謎の多い女性で、逸話・伝説には事欠きません。我が強く気性が激しかったとも言われるし、諦めが早く大人しい女性だったとも言われます。使用人を邪険に扱ったとも、気さくで優しかったとも言われ、掴みどころがありません。これはどうやら、好き嫌いの極端にはっきりした、並外れて気まぐれな性格だった為のようです。バイエルンの狂王ルードヴィッヒ二世の親戚で、血統的に精神不安定な、言っちゃえばシシィはキ★ガイの一歩手前だったみたい…。また、どの本もシシィ贔屓の立場から書かれているので、実の伯母であり姑のゾフィーを極悪人のように扱っていますが、確かに厳格で古臭い封建主義にガチンゴチンの出しゃばりなオバサンで、シシィとは性格的に合わなかっただろうけど、ゾフィーが妹のルドヴィカ(シシィの母)に宛てた手紙を読むと、決してシシィを憎悪していたわけではなく、少なくとも義母・伯母として人並みの気遣いと、大人としての理性的な余裕は持っていたように感じられます。返ってシシィのほうが、幾つになっても大人げなく、意固地にゾフィーを嫌悪・拒否し捲くっていたように、何冊かの本を通して読むうちに思うようになりました。こんな厄介な嫁、許せるほうが奇特だし、彼女の皇妃・妻・母としての無責任ぶりは、非難されて当然という気がします。君主制を否定し自由主義に憧れながらも、実質的な意味は理解せず、自分の美容や別荘(城)の増建設、旅費、高級馬の購入には、国民の税金を湯水のように使い捲り、皇妃と言う地位にドップリと甘んじていました。こんな人の国民でも臣下でも困るし、友達や親戚でも真っ平御免だなー。他人の立場や迷惑を省みるというセンスが、致命的に欠如したお方だったようです。そんな好き勝手に生きても、最後まで夫からは心底愛され、結局自分の望み通りの死に方をしたのだから、息子やルードヴィッヒの死を除けば、赤の他人が哀れむ程不幸な人生では全くないと思います。
ウィーン製ミュージカル「エリザベート」とシシィ伝説_f0141785_8365078.jpg
          ウィーンで買った「図説シシィ」の本。でかくて重い。

浪費家で努力嫌い&忍耐ナシの妃と言うと、ハプスブルク出身のマリー・アントワネットとダブります。実際、在オーストリアのベルギー大使夫人が、シシィのことを「こんなとんでもない変人が皇妃をやっていて、この国で革命が起きないのが不思議」と思っていたそうです。勿論本人達に会って確かめたわけではないし、彼女達の生きた時代も違うので、比較するのも可笑しい話ですが、実はアントワネットのほうが妃として幾分マシだったのではないかと思えてなりません。少なくともアントワネットは、贅沢三昧と言っても、豪華な城をおっ建てたりはせず、子供達に対しては真っ当な母親だったようです。その点シシィは…、断頭台の露とは消えず、ルードヴィッヒのように退位に追い込まれ幽閉されることもなく、本当にラッキーでした。
ウィーン製ミュージカル「エリザベート」とシシィ伝説_f0141785_21534534.jpg
        シェーンブルン宮殿に止まっていたハプスブルク柄バン。

そして、シシィは本当に絶世の美女だったのか?と言うと、これも結構疑問視しています。度々シシィにドタキャンされていた英国王室では、シシィの評判はすこぶる悪く、「噂程綺麗ではなかった」と記録しています。確かに写真で見る限り、当時の英国皇太子妃アレクサンドラのほうが、余程美しかったのではないかと想像出来ます。実はシシィは歯並びが悪く、コンプレックスを持っていたので、公共の場では口数少なく、残された肖像画も写真も、全て口を頑なに結んでいます。またシェイプアップの為、貴婦人らしからず、炎天下の中強歩に励んだ為(とんでもないスピードだったらしい)、シミそばかすが多かったようです。しかし、流行のファッションや凝った化粧には興味はなく、歩き易い靴を好んだ点には好感が持てます。また、立ち振る舞いや仕草から滲み出る美しさや高貴さにも、拘っていたようです。ある本で、長年極秘にされていたシシィの晩年(50歳代)の写真を見たら、単なる地味な上流家庭のおばさんにしか見えず、輝くような美貌とか、驚くべき若さとは程遠いものでした。当時のダイエットは、間違った知識だらけでしたから、晩年は相当健康を害し、体はボロボロで、実際リウマチに苦しんでいたようです。シシィ展で見た彼女のドレスは、肖像画や写真で想像する以上に細~いものでした。何せ身長172cmで、常に体重50kg以下をキープしていたのですから、現在のスーパーモデル以上の細さかも知れません。しかし、それが当時の美意識に受け入れられていたかどうかは、甚だ疑問です。…時々いますよね。ナイスバディではなく、ガリガリに固執する人。彼女はそういうタイプだったのかも。ともあれ、今でも我々が真っ先に思い浮かべるのは、彼女が望んだ通り、いつまでも若くて美しいシシィなのですから、その自己プロデュース力は、お見事あっぱれと言うしかありません。
なお、ロンドンは「ミュージカルの街」なのに、イギリスでは政治的な問題が絡んで、今だ「エリザベート」の上演が実現できないそうです。イギリスと言えば、パリで不慮の死を遂げたたダイアナ妃は、良く境遇や生き様がシシィに似ていると言われています。ダイアナ妃と聞いて、ウィーン製ミュージカル「エリザベート」とシシィ伝説_f0141785_03753.jpgダマールのババシャツを思い出す私ですが(つまりそれ位興味がない)、同時に、シシィ様もダマールの下着を持っていれば良かったのにね…とつくづく余計なことを考えます。シシィは抜群のプロポーションを誇示するため、極寒のウィーンの冬でもコートを羽織るのを拒否し、代わりに薄い鹿の皮の下着を、ドレスの下にピッチリ体に沿うように、毎日侍女達に縫い付けさせていたそうです! これを聞いて、友達が「ひゃー、プライドのおばけだ」と言っていました。

←有名なヴィンターハルターの肖像画を元にした「シシィ・バービー」(日本未発売)。顔は特に似ていません。
by derliebling | 2010-04-30 07:23 | 本・メディア


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