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ジェイムス・ブラントの「オール・ザ・ロスト・ソウル」

ジェイムス・ブラントの「オール・ザ・ロスト・ソウル」_f0141785_442119.jpgZAVVIの閉店セールで買ったもう一枚は、これも2,3年前に発売されたもので、ジェイムス・ブラントのセカンド・アルバム、「ALL THE LOST SOUL オール・ザ・ロスト・ソウル」です。あの「ユ~ア~ビューティフォ~♪」の歌手です。あの歌はヒットし過ぎたため、昨年「一番ムカつく歌」に輝いたそうだけど(笑)。
ほぼデビュー作の「You're beautiful」が世界的に成功したせいで、一発屋(英語でOne-hit wonderというらしい)になることが危惧されたジェイムスですが、その後も出せば必ず売れるようなメガ・ヒットメーカーとなり、今や英国を代表するシンガー・ソング・ライターと呼ばれています。しかも単に名前が売れているからだけではなく、確かにどの歌も印象的で、一度聴いたら忘れられません。そういやハンガリーでもポーランドでもかかっていたなあ…。70年代ポップチューンを意識したノスタルジックで素直に美しいメロディ、限りなく甘く優しいピアニッシモから中々ソウルフルなフォルテシモに、ファルセットへの切り替え(つまりヨーデル系)と絶妙な天然ビブラートが織り交じった刹那くクリアな歌声は、否応なしに胸にググッと来るもので、実際よくもまあ毎回涙腺を刺激するサビが作れるものだと感心していました。でも歌やプロモーション・ビデオのイメージから、絶対暗いナルシストな繊細クンだろうと思っていたのです。ところがある日「トップギア」という車バカ番組にゲスト出演していて、良くしゃべる結構面白い人で意外でした。飾り気のない、ちょっと不器用そうなところが返って好感持てました。何より軍隊出身という経歴が変わっていますよね。
肝心のアルバムの内容はと言いますと、期待に違わず、どの曲にも真摯な美しさがあり、歌の表現力も本当に豊かで、持っていて損のない大満足の一枚でした。確かに曲も声も繊細だし、アレンジや演奏も特別凝ったところなどなさそうなのに、全体的には全く薄っぺらくなく骨太な印象です。どの歌もシングル・カットされて可笑しくない出来なので、その分遊びが少なく、多少変化に乏しい感は否めませんが…。今時こういう叙情的な透明感が受けるなんて、世の中まだまだ捨てたもんじゃないなー位に思えます。流行や商売など全く気にせず(実際にはそんなこと絶対ないだろうけどさ)、自分の心の叫びのまま歌っているようなスタイルで、それが返って新鮮に聴こえるのかも知れません。今は車の中で聴くためにCDを買うことが多いのですが、田舎道で聴いても高速道路で聴いても両方良し!の珍しいアルバムです。
ところでこれは「オール・ザ・ロスト・ソウル」のデラックス・エディションなのです。何処がデラックスかというと、普通の音楽アルバムの他、なんとDVDが付いています。しかも何故かCDだけのほうが6ポンドも高かく売られていたのでした。絶対店で間違えて値札を付けたのに違いない(らっきー♪)。DVDの内容は、ライブやPVのメイキングに加え、彼が兵士として赴任していたコソボを再び訪れるというドキュメンタリーも含まれており(軍服姿のジェイムスの映像が見られます)、かなりの社会派。今尚深いコソボの戦争の傷跡が、彼の音楽の哀愁に重なり、胸を打たれる興味深い内容です。
P太と二人でDVDを見ていて思ったのは、全く余計なお世話だけど、ヒゲが似合わねーなということ(おまけにP太は「ゲイに見える」と言っていた。まあいいじゃないか)。ジェイムスは奥目がちの涼しげな結構優男なのですが、はっきり言って印象の薄い顔なので、あえてヒゲをはやしているのかも知れません。
このアルバムが凄く気に入ったので、今更ながらこれ以上に評価の高いデビュー・アルバムの「BACK TO BEDLAM バック・トゥ・ベッドラム」も是非買いたいと思います。
by derliebling | 2009-01-21 01:51 | 本・メディア


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