人気ブログランキング | 話題のタグを見る

映画「十三人の刺客」

映画「十三人の刺客」_f0141785_825797.jpg
恋愛もない、女性がほとんど登場しない、血と汗と泥に塗れた男臭~いサムライ映画です。何でこういう映画ばっか見ているかと言うと、こちらで売られているブルーレイのセレクトが、明らかに男性の好みに偏っているから。とは言え、ハリウッドのメジャー系には夫婦揃って飽き飽きなので、それよりは、こういう映画や中国歴史スペクタル物のほうが、断然楽しめます。まあ侍モノは、昔から結構好きなんです(笑)。この三池崇史と言う監督は、海外で非常に評価が高く、P太やハンガリー人の友人も大ファンです。実際、日本で最も元気の良い映画監督の一人だと思います。でも、好きな人(絶対男中心)は凄く好きだけど、ダメな人は全く受け付けられないと言う、カルト的な人気の監督です。そもそも欧米の日本映画ファンには、オタク系と言うかマニアックな人が多いのですが、そう言う点では、クウェンティン・タランティーノのファンとかなり共通するようです。この映画は、昨年のヴェネツィア映画祭に出品され、一般観客からの評判が凄く良かったものの、無冠に終わったと記憶しています。いかにも審査委員長のタランティーノ好みの映画なのですが、あからさま過ぎて意外性無くて、あえて選ばれなかったのか…(笑)。
映画「十三人の刺客」_f0141785_19291572.jpg
見終わって、無駄の一切ない、名作と言って良い充実した映画だと思いました。ストーリー自体は極単純ですが、始終飽きることのない演出です。非常に真面目で硬派な内容で、「ヤッターマン」と同じ監督だと信じるのが難しい位(…「牛頭」とか無駄だけで出来ているもんなあ)。タイトルからして、「七人の侍」に影響されたのだろうと思いましたが、実は約50年前の映画のリメイクで、当時は「17人の忍者」等こういうタイトルが多かったようです。オリジナルに忠実に、出来るだけCGや大げさなBGMに頼らずに作ったと言うだけあり、下手に海外ウケを意識しない、純粋なスタイルの日本映画の魅力があるように感じられました。フィクションですが、実際こんな理不尽なことが江戸時代には起こり得たかも…と思えるリアリティがあります。でも、それだけに重いッ。とにかく非常に重苦し~い映画です。物語展開に不可欠とは分かっていても、目を覆いたくなるような残酷なシーンは有るし、冒頭からいきなりウッチーの生々しい切腹で始まるし、後半約50分は延々と殺し合いが続きます。こういう「ちゃんばらシーン」って、忠臣蔵の吉良邸討ち入りにしても、新撰組の池田屋にしても、ドラマでは長ければ長い(現実の経過時間に近い)程、臨場感があるってことなんでしょうね。13人の刺客に次々に殺される大量の敵側の家来達も、単に主君に忠実なだけなのに哀れだし…。なので主君の無慈悲性が一層強調されるんでしょうけど。正直言って、見終わって気持ちの良い映画ではありません。(上の写真は米国版ポスターだそうです。カッコイイ)
映画「十三人の刺客」_f0141785_19295741.jpg
配役は実力派揃いで、その点では安心して見る事が出来ます。役所広司が主役と言うだけで、質の良い映画だと約束されたようなものだし、いつもは時代劇で主役の松方弘樹が、脇役で良い味出しています。伊原剛志が味方側にいると、とても頼もしく思えます。凄く強そうで。この人、いかにも侍らしい風貌なので(本物の侍、見たことないけど。笑)、海外でも人気があるそうです。若手としては、山田孝之が中々骨太な演技を見せているし、伊勢谷友介の人間離れしたキャラぶりが、この重~い映画の明るいアクセントになっています。市村正親には中間管理職の悲哀が似合うし(「江」の明智光秀役と被る)、個人的には松本幸四郎が俳優として好きですが、もし一等賞を上げるとしたら、虫も殺さぬ涼しい顔して残虐非道の限りを尽くす、最凶の暴君を演じた稲垣吾郎を挙げたい。単なるバカ殿ではなく、貴公子然としているのに、頭良過ぎてとんでもないキ★ガイなんです。何だかもはや怪演の域で、吾郎ちゃん凄い(笑)。
映画「十三人の刺客」_f0141785_8253249.jpg
DVD特典映像としてのカットされたシーン集を見たら、これまた消してしまうには惜しいエピソードばかりでした。と思ったら、またもや国際版は、日本版よりも20分短縮されているそうです。どうして、こういう人種差別するかな~(怒)。ガイジンには、日本の武士道は分からんと思ってか。いや、海外の日本映画ファンなんて、日本人以上に日本映画に精通している人が多いと思います。日本人だって、もし「シェイクスピアは英国人以外理解できないから」って言われたら、納得行かないでしょう? 特に、伊勢谷くんと岸辺一徳のカラミは(うえ~)、監督自身も一押しで、外せないシーンなのにね(笑)。---上の写真は、イギリス版DVDのジャケットですが、私が日本人だからか、いつも日本版に比べて工夫とセンスないなーと思います。映像のセッティング画面では、ジャケット中の上の顔の目が動くんですよ。笑える。
by derliebling | 2011-10-15 15:32 | 本・メディア


こんにちは!「ぴよよん」です。当ブログに御訪問頂き有り難うございます♪ 英国に住んでいますが中欧好きです。蚤の市等で出会った、または手作りなどの可愛い雑貨たちを紹介していきたいと思います。


by ぴよよん

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ

全体
ごあいさつ&お知らせ
おもちゃ・人形
アクセサリー
テーブル&キッチンウェア
ファブリック
インテリア・デコレーション
箱・缶・入れ物
バッグ・靴・帽子
ファッション・コスメ
手芸用品
ステーショナリー・グラフィック
本・メディア
食べ物・飲み物
旅行・お散歩
ガーデニング・植物
動物
その他
イギリス生活・文化

タグ

(647)
(340)
(211)
(192)
(171)
(170)
(169)
(161)
(152)
(148)
(147)
(146)
(145)
(137)
(136)
(127)
(118)
(98)
(98)
(96)

お知らせ

2019年3月より、手帖3刷目で更新中です。
※コメントは、こちらのブログへ頂けますようお願いします。

手帖2冊目(2014年8月~2019年2月)はこちら

日々のつぶやきブログはこちら

Copyright
©2007-2019
Der Liebling
All Rights Reserved.





ロンドン ホテル

最新の記事

ブログ移転のお知らせ
at 2014-08-01 15:30
シトラス・カラーのラインスト..
at 2014-07-31 15:37
赤毛のアンの親友、ダイアナ人形
at 2014-07-30 15:33

記事ランキング

以前の記事

2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月

検索

ブログジャンル

海外生活
雑貨

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

お気に入りブログ

KICSI KAVE./...
でこぴんぬ
ミンミンゼミ
こけし絵日記~津軽こけし...
うきうきビール生活 in...
Der Lieblin...
国立コーヒーロースター/...
ぴよよんのたわごと

画像一覧

ライフログ

つぎはぎ おばあさん きょうも おおいそがし (講談社の創作絵本) [PR]

UVレジンだからできる大人ジュエルなアクセサリー [PR]

レトロな雑貨に囲まれたあたたかな暮らし―I love zakka home. (別冊美しい部屋 I LOVE ZAKKA home.) [PR]

モダンアンティーク・テーブルウエア―1950~70年代イギリスのかわいい食器たち [PR]

マーケットで見つけたかわいい東欧のレトロ雑貨 (玄光社MOOK) [PR]

切手で旅するヨーロッパ [PR]

えほんとさんぽ―さがしに行こう!絵本・雑貨・カフェ [PR]

アッチュム!フランスのかわいい古書を探しに [PR]

エプロンメモ [PR]

おばあちゃんのエプロン [PR]

旅のおみやげ図鑑 [PR]

乙女みやげ [PR]

いやげ物 [PR]

旅のグ [PR]

少女スタイル手帖 (ランプの本) [PR]

内藤ルネ―少女たちのカリスマ・アーティスト (らんぷの本) [PR]

その他のジャンル