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イギリスで手術

・・・を先日受けて来ました。念の為、単なる外来手術で入院する必要もなく、命に関わるような大げさなものでは全くありません。昨年の夏位から、左頬に「アテローマ(粉瘤腫)」と言う、皮膚内に老廃物が袋状に溜まる腫瘍が出来まして、痛くはないけれど結構大きく、邪魔だしみっともないので、袋ごと摘出することにしました。で、最寄のGP(ホームドクター)に申し込み、6ヵ月後に隣町の病院で手術しました。小さな手術だった訳ですが、日本でさえ手術なんて2回しか体験したことがなかったし、まして外国で受けるなんて結構ドキドキでした。一応顔なので、傷痕が残るのには躊躇しました。もはや嫁入り前の体じゃないし(笑)、惜しむような美貌は微塵も無いのだけど、イギリスではとんでもなく手術痕が大きくなると聞きましたので…。しかし、折角結構貴重な?体験をしたのだから、ブログのネタにしてみます(笑)。
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まずは、イギリスの医療システムについて、大まかに説明する必要があると思います。イギリスにはNHSと言う国民健康保険制度がありまして、国立の病院・診療所であれば医療費は無料です。しかし、毎月税納者の給料から高い保険料が引かれるのは日本同様で、また薬代は有料です。これが一種一律7.40ポンドと結構高い。そしてイギリスのことなので、当然のように毎年値上がる。それでも、英国籍でもない私まで無料で診察・治療を受けられるのだから、一瞬凄い!と思われるかも知れませんが(私も最初はそう思いました)、内容もタダに相応しいと言うか…、いやタダより恐ろしいものはないように感じます。NHSに関する、先進国医療にあるまじきアンビリーヴァボーな「本当にあった怖い話」は、始め出したらキリがないようです。もし何か大病に掛かったり大事故に遭ったら、この国では簡単に死ねるとカクゴしています。このNHSに我慢出来なければ、プライベートの医者(決して無免許ではない)へ行くと言う選択もありますが、べらぼうに高い割に、満足の行く治療を受けられたという話も聞きません。
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NHSに掛かる際、直接専門医に診てもらうのは不可能で、まずは登録したGPへ行き、そこで紹介状を出されてから初めて大きな病院の専門科の診察を受けることが出来ます。目が悪い、皮膚に問題有りなどと本人が良く分かっていても、個人で直接眼科、皮膚科に行くことは出来ないのです。ヨーロッパの大抵の国が同じシステムらしく、ハンガリーの友人は、早く(良い)専門医に診てもらいたいのに…と、いつもボヤいています。これがまあ確かに、イギリスのことなので、何事においても非常に時間が掛かります。スタッフ不足で、治療も病室も万年空き無し。「物もらい」の診察でさえ、一週間待ちでした。手続きミス(または怠慢)で、待てど暮らせど連絡が来ないことも。国の財政難で、NHSの費用・人員は大幅に削られ、益々不安で頼りない状態になって来ています。日本であれば、せいぜい一週間以内に受けられる私のこの手術も、ここでは六ヶ月待ちは未だマシなほうだと聞きました。当然治療が遅れて病状が悪化したり、実際待ちきれず亡くなる方の話も絶えません(涙)。
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さて、手術の前日の午後5時から6時と言う、たった一時間の間に病院に電話して時間を確認しなければ、6ヶ月待った手術はキャンセルされるとのことで、すでにこの事で緊張しました(笑)。手術開始は朝8時の指定。この日はP太が有給休暇をとってくれて、8時前に病院に到着しました。その後看護師が熱や血圧を測り、手術担当医師の診察を受け、待合室で待ち続け、手術が始まったのは約10時。
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ひどい対応&怖い現実には事欠かないNHSですが、今まで私が体験した限り、お医者さんと看護師さんが皆優しい、感じの良い人ばかりなのには感心します。NHSがそんな逼迫した状況なのに、いつもゆったり余裕ある雰囲気(…返って少し心配するが)。患者を不安にさせないことが、いかに医療に大切か心得ているように見えます。日本では、診てもらうと益々具合が悪くなるような、不愉快な医者や看護師って時々いますよね(笑)。最初に血圧等を測った看護師さんは、「ベン(手術医の名前)はベルギー人だし、早口で聞き取りにくいでしょう? 術後の注意点は後でゆっくり話して上げるわ。…旦那さんも一緒のほうが安心ね」と言ってくれました。別な看護師さんは、手術中に手を握ってくれました。確かに、看護師さんにも外国人は多かったので、英語が未だ未だ不自由な私は、聞き取るのに手こずる場面も。
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手術自体は大したことないだろうと思っていたのですが、手術服に着替えて、本格的な手術台に乗ってみると、一気に緊張が増して来ました。部分麻酔の注射が思いのほか痛くて、涙目になって自分でも笑ってしまいました。実は私、アル中でもヤク中でもないのに(笑)麻酔が効きにくい体質なんです。先生も、執刀しながら「もしチクッと感じたら、麻酔足しますから言って下さいね~」なんて言っていました。しかし、その後麻酔は完全に効いて、頬が引っ張られるのしか感じませんでした。耳元近くでギリギリ切り刻む音が聞こえるのは、ちと怖いけど…。台に乗ってから降りるまで、合計30分も掛からなかったかな。とにかく手術は無事済みました。私の頬からは、ラッキョウのような白いオデキが出て来ましたよ(げげっ)。
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手術の後、フィリピン人の看護師さんが書類を作成している間、何と紅茶とビスケットが提供されました。そして術後の手続き、注意点の説明を受け、30分位で病院を後にしました。麻酔が切れても、痛みは全くありませんでした。時々皮膚が引きつるように感じる位。不便な点は、一週間以内は感染症になる恐れがある為、患部を塗らしてはいけないので、髪を洗うのが面倒なのと、自由に寝返りがうてないせいか、首と肩の凝りに悩まされたことです。この手術の為にも、美容室で髪を短くしたのは本当に正解でした。病院での指示通り、一週間後には最寄のGPに行きましたが、傷口は完全に塞がっていて、もう絆創膏すら貼る必要はないそうです。お医者さんも回復の早さに驚いていました。…ホ、ホントか~? コストを抑える為か、NHSは何事も日本より医療の判定基準が甘いようで、「念の為様子を見ましょう」と言うステップが無いように感じます。手術痕は約4cm。結構大きいですね…。日本では、今は盲腸の手術でさえ、ほとんど切らないと聞くのですが。頬と言ってもモミアゲに近い部分なので、髪で隠せるのがせめてもです。
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因みに私、お腹にもアテローマがありまして、こちらは普段は平らですが、ストレスが溜まると大きく腫れ上がり、腹部を屈することが出来ない程痛みます。大震災後は、一ヶ月以上腫れていました。こいつも、いつかは袋ごと摘出する手術しなきゃ駄目かな…と覚悟しています(涙)。今度はハラキリですね。
by derliebling | 2011-06-16 17:59 | イギリス生活・文化


こんにちは!「ぴよよん」です。当ブログに御訪問頂き有り難うございます♪ 英国に住んでいますが中欧好きです。蚤の市等で出会った、または手作りなどの可愛い雑貨たちを紹介していきたいと思います。


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